出たとこデータサイエンス

アラサーでデータサイエンティストになったエンジニアが、覚えたことを書きなぐるためのブログ

「全ての知識を20字でまとめる」書評 アウトプットの時間が取れないと悩む人必読の書

「学習したことをアウトプットする癖をつければ、吸収は圧倒的に早くなる」ということは、技術職なら必ず一度は聞いたことがあるだろう。
しかし、アウトプットの有効性について理解していても、実際にはその通りにできず、インプットのみの学習に留まってしまうと感じている人は多いのではないだろうか。私もその一人だ。
今日はそのような悩みを抱える人の助けになれば良いと思い、「全ての知識を20字でまとめる」という本を紹介したい。

アウトプットするのはしんどい

世の戦闘力の高い方々はアウトプットしろアウトプットしろと言うが、そもそもインプットするだけでも大変なことだ。
会社から帰ってきて、酒を呑むのもtwitterをダラダラ眺めるのも我慢し、本を開き、疲れた脳に新しい事柄を叩き込むのは、プロとして飯を食うなら当たり前のことであっても、決して楽なことではない。
これに加えて、その内容をアウトプットするとなると、負荷は飛躍的に増大する。
「そんな時間や労力を、いったいどうしたら捻出できるのだろう?」と首を傾げながら、結局インプット偏重型の学習から脱することができない人は多いのではないだろうか。
私もこのようにブログを持っているが、更新頻度は低く、アウトプットといえばtwitterで気づきをツイートする程度に留まってしまっている。

アウトプットに時間がかかる理由

そもそもアウトプットにはなぜ時間がかかるのか。自分が業務で分析の報告資料を作成している時のことを思い出すと、自分が知っていることを他者が理解可能なように整理する作業に殆どの時間が費やされていたことに気づく。
文章や資料を作成した経験のある人なら誰しも理解していることだが、成果物を簡潔にしようとすればするほど、その整理にはより時間がかかる。
しかし時間が惜しいからと自分の頭を整理するプロセスをいい加減にすると、実作業は道標のない山道を登るがごとく迷走し、より多くの時間が失われてしまう(最悪、完成しない)。
結局アウトプット高速化の肝は、知識を整理するプロセスをいかに妥当かつ素早く行うか、という点にかかっている。

「全ての知識を20字でまとめる」

素早く知識を整理し、できるだけ少ない時間でアウトプットする術を身に着けたい。
そのようなモノグサ心課題意識を持って手にとったのが、この「全ての知識を20字でまとめる」だ。
twitterの140字制限にいつも苦しんでいる身からすると、20字という短さは驚愕だ。
しかしこの本には、様々な知識を20字でまとめるためのフレームワークが記されている
試しに、この本の内容を自分で20字程度でまとめてみると、次のようになる。

具体的問題を念頭に置けば知識の再構成は容易(21字)

20字といいつつ21字になってしまっているが、3字までは誤差として許されるようだ。
著者曰く、このような簡潔な一文を量産するスキルを磨けば、学習が定着しやすくなり、他者にとって有益なアウトプットも出せるようになるのだと言う。

3つの疑問詞を意識しながら学習する

では、どのような切り口で攻めればこのような簡潔なまとめができるようになるのだろうか?
この本では、WHY、WHAT、HOWという3つの疑問詞を意識することが鍵だと言う。
トヨタに勤めていた著者は、説明力の高いデキル上司を観察するうちに、「『分かる』とは3つの疑問詞に答えられること」だという結論を得たとのことだ。

WHY なぜ学ぶ必要があるのか?

学習者は、学習を始める前に「この学習を行うのは、どのような問題を解決するためなのか」ということを強く意識しなければならない。
何となく本を買い、何となく読み、何となく満足する。このような学習は「消費型」の学習であり、得るものは少ないと筆者は指摘する。
逆に、特定の問題を意識して本を読むことで、必要のない情報をバッサリ切り落とすことができ、20字という非常に小さな枠へとまとめることができるようになる。

WHAT 何を学んだのか?

学習の目的を明瞭に定めたら、次はその問題の解決策を本文から探る。
問題発生の背景にある真因は何なのか、それを解消する方法は何なのか。目的を念頭に置くことで、枝葉末節にとらわれずに必要な部分だけを吸収することができる。

HOW どのように活かすのか?

学習し終えたら、その学習内容を「WHY」で定めた問題に対してどのように活かしていくかを考える。
この際、抽象的な表現ではなく、動作を規定するような具体的な言葉として書き出すことが重要だという。

「すべての知識を20字でまとめる」を20字でまとめる

試しにこの本の示す方法に従って、この本自身を20字でまとめる作業を行ってみた。 この本では学習事項をまとめるためのフレームワークがいくつか示されているが、重要なポイントは下記の2つだ。

  • WHY、WHAT、HOWの3つの疑問詞に対し、それぞれ2,3程度の回答を書く
  • 上記の回答を元に、学んだことを20字で要約する

Markdownでまとめると下記のようになる。

  • 3つの疑問詞
    • WHY?
      • 学んだことを高速にアウトプットしたい
      • 高速なアウトプットのために、知識を素早く整理する術を身に着けたい
    • WHAT?
      • 具体的な問題に適用すれば、知識を再構成することは容易である
      • 学ぶ目的(WHY)を設定し、その問題設定に従って内容(WHAT)を把握し、自分の具体的な動作(HOW)に落とし込むことが重要
    • HOW?
      • 本を読んだ際は、「3つの疑問詞」「20字まとめ」の2つのアウトプットを実践する
      • 上記のアウトプットを種として、ブログに書評を書く
  • 20字でまとめると?
    • 具体的問題を念頭に置けば知識の再構成は容易

個人的な感想

20字は、実際に書いてみると分かるがあまりに短い(世界一短い詩の形式である俳句は17字)。
逆に言うと、この短さにまとめることができるということは、学習対象のエッセンスを抽出できているということが言えると思う。
また、3つの疑問詞に従って情報を整理するという手法自体は、業務で報告書を作る時等に常に意識していたことだったので意外性はなかったが、日々の学習全てに対してそのフレームワークを適用するという発想はなかった。
時間がかかりがちな知識の再整理という作業を高速で行うためのヒントは、多く得られたと感じる。

実際に20字まとめをベースにしてこの記事を書いたが、今までよりも執筆中に書き方に悩む時間はかなり減った。
(その割に自分で読んでいてこの記事の質が高くないなと思うのは、「WHY?」の掘り下げがいまいち浅かったからだと思う)
今後もこの20字まとめを実践し、インプット→アウトプットのサイクルを高速にしていきたい。